星玉手箱(対空双眼鏡)の製作
対空型低倍率双眼鏡を作ってみました。特長は、90度対空型で天頂付近をのぞいても首が痛くならないこと、眼幅調整を左右鏡筒平行移動式としたことなどです。プリズムボックスが四角形になり覗き込むと満天の星が見えるので「星玉手箱」と名付けました。

口径:50mm

倍率:8倍(ワイドスキャン32mm使用時)

対物レンズ:ケンコー製ACクローズアップレンズNo.4、ねじ径M55mm(焦点距離250mm)

接眼レンズ:2インチ規格接眼レンズ対応

正立プリズム:アミチプリズム(有効径45mm、光学部品メーカーのアウトレット品を使用)

ピント合わせ機構:なし(接眼レンズ抜き差し後クランプねじで固定)

眼幅調整範囲:60mm〜75mm

重量:1500g(接眼レンズを含まず)

プリズム筐体は金属加工ができないので木製です。板材を接着して作りました。塗装を施し、側面にはアルミ板で蓋をしました。 接眼スリーブは塩ビパイプ(内径φ51mm、外径φ60)で作りアルミ板製の座面に接着しました。対物レンズ側の鏡筒は塩ビパイプ(内径φ56mm、外径φ60mm)で作りました。対物鏡筒の取り付け部は市販のフィルター用アダプターリングを加工しました。
アミチプリズムはダハの稜線を当てないように注意して端面と側面を押さえて固定しています。左上部と右下に見えるのは平行移動用の真鍮製軸(φ6mm棒材)です。垂直を出して木枠に接着しています。相手は反対側の木枠に埋め込んだアルミパイプ材(外径φ8mm、内径φ6mm)です。はめあいの隙間をテープで埋めました。 接眼スリーブは内径φ51mmなので2インチ(φ50.8mm)になるようにテープを3カ所に貼って合わせました。
対物レンズは塩ビパイプ材に塩ビ用接着剤で固定しました。(接着剤を盛り上げたところにねじ込んでいます)。内側には黒色植毛紙を貼り外側は白色のシートを貼りました。
左右鏡筒光軸の平行調整は、木製手作りのため各部の角度が正確に出なかったので、接眼スリーブ取り付け座面にシムをはさんで合わせました。眼幅調整は左右のプリズムボックスを引っ張って行います。グリースで適度な堅さにしています。
使用した感じ(製作者がひいき目で見た独断)は、重量の割には胸元に両手で支えて使用するためさほど重く感じませんでした。天頂付近はとても覗き易いです。また目標天体の導入のし易さは直視型に比べると劣りますが、視野が広いのでそれほど難しくありません。手持ちで使って気付いたのは天頂付近で視野を左右に振ると視野の像が回転することです。直視型と比べてちょっと奇妙な感じです。地上の景色を見るのは、首が痛くなりつらいです。
アミチプリズムにコートが施されていなかったのでゴーストの発生を気にしていましたが、ゴーストは明るい月など見ない限りは気になりませんでした。ワイドスキャン接眼レンズとの相性が良かったのか周辺像の劣化もそれ程大きくありません。なにはともあれ低倍率の広い視野は気持ちよいです。
今後の課題としては、合焦機構の追加、眼幅調整のクランプをどうするかと軽量化です(現状は2本の接眼レンズだけで1kg、接眼レンズを含めると2.5kgです、三脚取り付けねじを設けていますが手持ちでも使用したい)。
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