2インチ双眼装置第一号(LBV-1)の製作
2インチ双眼装置の完成まで

45cm反射望遠鏡を作り、単眼で星雲・星団を観望していたのですが、どうしても双眼・低倍率で見たくなりました。2インチ接眼レンズを使える双眼装置には、市販品がありません。まだ誰も作っていないものなので製作意欲だけは、わいてきますが具体化までは長い道のりでした。どんな形、構造、大きさにしていったら良いか1999年から少しづつ検討を始めましたが手作りできる単純な形をなかなか思いつきませんでした。

顕微鏡用の小型の形状をそのまま大きくすると、人間の目幅を、大きくできないために構造が制約されてしまいます。光学系もいろいろ考えましたが、結局手作り可能な箱形の形状を思いつき2001年から筐体の製作を始めました。その年の秋に石川町スターフェステバルでは、何人かの方々に完成した木製の双眼装置を見ていただくことが出来ました。双眼装置は完成しましたが、まだ45cm望遠鏡には取り付かず、望遠鏡の改造にさらに半年ほどかかりました。双眼装置が完成しても焦点位置を出すために望遠鏡のトラスを短くしたりカウンターウエイトを取り付けたり試行と改造が必要だったのです。

2002年秋の石川町スターフェステバルでは完成した双眼装置付き45cm望遠鏡を見ていただき星雲、星団を楽しむことが出来ました。両目を使ってワイドスキャン32mm接眼レンズで見る広視界84度の視野は宇宙船の窓から見ているようで感激しました。詳細は月刊天文2003年4月号にまとめましたので参考にしてください。

筐体は木製です。単純な構成ですが光束を通すためと小型化のためにけっこう複雑にくり抜いています。
ビームスプリッターとプリズムは真鍮板のベースに両面粘着テープで固定し、その上からスペーサをはさんで木製のカバーで押さえています。
移動側ユニットの回転軸は、2枚のアルミ板とねじ軸からなり、蝶ナットを締めて固定できます。
眼幅調整のために回転させる移動側ユニットです。ミラーはアルミ板のベースに接着され、ベースはバネをはさんだ3本のねじで傾きが調整できます。
望遠鏡への取り付けはボーグのヘリコイド式合焦部(ヘリコイドT)を介してナット(M68.8mm)により固定しています。取り付け角度はナットを緩めて変えられます。 完成した双眼装置の重さは1.8kg(ヘリコイドTを含む)となり接眼レンズ2本を加えると2.8kgが接眼部に加わります。高度軸廻りのバランスをとるために、主鏡保持枠の裏に約7.5kgのカウンターウエイトを取り付けました。
双眼装置付き45cm望遠鏡。
光学系
2インチ双眼装置1号(LBV(Large Binocular Viewer)-1)の特長と仕様

有効径:φ46mm

対応可能な望遠鏡口径比:F4.8

眼幅:60〜85mm

光路長:193mm(接眼レンズ取り付けスリーブ端面〜2インチバレル胴付き面)

ビームスプリッター:50mm角

重量:1620g(ヘリコイドTを外し2インチ用バレル取り付け時)

特長

ビームスプリッターにはシグマ光機製の誘電体多層膜(透過/反射比率:50:50%)のものを使用しています。光学系はこの他に直角プリズム2個(BK7)とミラー1個を使用。筐体は木製です。BK7プリズムでは全反射条件がF4.8までの光束となり実際は周辺減光が生じますが、45cm(F4.5)の望遠鏡に取り付けて星雲、星団を見た感じはほとんど影響は感じません。

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