2004年 双眼鏡・望遠鏡サミット
第7回双眼鏡・望遠鏡サミット(2004年10月16日〜18日、愛知県北設楽郡東栄町スターフォレスト御園にて開催)に参加してきました。45cm反射望遠鏡と自作2インチ双眼装置を持ち込みました。昨年に続き2回目の参加です。2晩とも快晴に恵まれ、夜の寒さや眠気はこたえましたが、なごやかな雰囲気と双眼望遠鏡の林のなかでとても充実した時間を過ごせました。今回は50cm反射が2台参加し、2インチ双眼装置は米国製の市販品も見ることができました。またスターフォレストのドームの中では60cmも覗かせていただき、大気が安定した2晩目の夜にはをオリオン大星雲を見て60cmと45cmの差も良く解りました。どの望遠鏡や双眼鏡もすばらしくアイデアや個性が光っていましたが、2インチ双眼装置や双眼鏡、それと今回とても印象に残った水晶玉望遠鏡などについての感想です。
2インチ双眼装置
31cm反射望遠鏡に取り付けられた池田さん製作の正立2インチ双眼装置
50cm反射(武蔵500)に取り付けられたKIKUTAさん製作の2インチ双眼装置
トラさんの米国製2インチ双眼装置
今回は池田さん、KIKUTAさん、トラさん、それから私と4名が2インチ双眼装置付き望遠鏡を持ち込み2インチ双眼装置がさらに増えました。池田さんの双眼装置は正立双眼装置も加わり、とても軽量コンパクトにまとめられています。また自作のエクステンダーレンズも見せてもらいました。KIKUTAさんの武蔵500は双眼装置が直に鏡筒の中に取り付けられていてニュートン斜鏡をできるだけ小さくする工夫がされています。トラさんの米国Siebert optics社製2インチ双眼装置(Black Knight)はミラー3枚と45mm角ビームスプリッターを用いていますが驚くほど軽量でした。接眼レンズ取り付け部の金物長さを短くして光路長を最小にするなど工夫されていてエクステンダーレンズを使えば、どの望遠鏡にも望遠鏡の改造なしで使用することができます。覗いた印象はエクステンダーを使わない直付けの望遠鏡の方が、低倍率では周辺光量の面でも有利かと感じました。しかし鏡筒を短かくするなど望遠鏡の改造が必要になります。
双眼鏡
石石石さん、サミット参加の方々と私が持ち込んだ手持ち双眼鏡各種

石石石さんからはツアイスやフジノンの最近のまじめな双眼鏡やめずらしい古い双眼鏡各種、私は、古いボシュロムや日本製の広視界双眼鏡などを並べました。日差しが強く古い双眼鏡にはちょっと厳しい温度になったのでこのあと日陰に移動しました。やはりツアイスの最近の双眼鏡の見え味はすばらしく、目の保養になりますが欲しくなりそうで危険な香りもします。今回透明度の良い星空と緑豊かな自然の中でいろいろな双眼鏡を見比べて特に感じたのは眼鏡使用者でなくともアイレリーフの長い双眼鏡は快適なことです。同じ見掛け視界70度の双眼鏡でもアイレリーフの長い双眼鏡は宇宙船の窓から覗いているような開放感があります。

石石石さんの対空型双眼鏡。初めて見た双眼鏡です。宮内光学の製品に似ていますが、少し違います。口径100mm。
キーボードラゴン(杉山さん製作)
今回のサミットでとても印象に残ったのが杉山さん製作の望遠鏡です。「キーボードラゴン」と言う名前は木製望遠鏡で、龍が玉を爪で持っているところからの命名とのことです。おとぎ話か竜宮城にでもありそうな雰囲気のある6角形の木製の筒はとても精巧に作られていました。大きな接眼レンズの水晶玉は直径10cm程あり、中心部分ではかなり良く見えました。周辺像は流れましたが、視野は広くアイレリーフもあって感動しました。東の空から上ってきた、すばるがとても良く見えました。

ちなみに水晶玉の焦点距離について機材の紹介で説明があったのですが、メモを取れなかったので調べました。吉田正太郎著「望遠鏡光学・屈折編」によれば水晶玉レンズはその昔から虫眼鏡に使われハーシェルも使用しその焦点距離はf=(n・r)/{2(n-1)}とあります。ここでnは水晶玉の屈折率、rはその半径です。水晶玉は実際はガラス玉と思われますので仮にガラス材料をBK7とすると、屈折率1.517で直径10cm の水晶玉の焦点距離は73mmになります。

私も作りたくなりました。双眼正立タイプとかもっと大型の水晶玉を使ったものとか、いろいろな可能性がありそうです。但しこの望遠鏡には弱点があります。太陽の下に接眼レンズを持ってくるととても危ないです。ちょうど杉山さんに昼間見せてもらっていたときに外してあった大きい方の接眼レンズ筒から煙が出たのです。太陽が焦点を結ぶと望遠鏡が燃えてしまいます。水晶玉自体は占い師が持っていたり床の間などに飾るものと思いますが日光の当たる場所には絶対に置けません。

今回は服部さんのビックビノ(25cm屈折双眼)やじろーさんのうらしま(TOA130双眼)も良く見せていただきました。屈折望遠鏡の広視野でシャープなM31が印象的でした。2晩目は夜半から大気が落ち着き土星の細部がとても良く見えたとのことですが翌日の運転を考え早く寝てしまったのが残念です。次回までに何を作ろうか、またどんな機材が集まってくるのか、来年がとても楽しみです。

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