第6章 追記その1 東京光学12cm高角双眼鏡
東京光学機械株式会社(現在株式会社トプコン)は1932年9月1日に創立されました。その背景は主に海軍用の製品を生産していた日本光学は陸軍の要求に応じきれない事情にあったため同社とは別に海軍の日本光学に匹敵する陸軍のための民間会社設立の必要性が当時の陸軍兵器本廠で問題になったためです。陸軍から働きかけがあった服部時計店精工舎の測量機部門を母体として、工場設備については当時服時計店の専属下請け工場であった勝間光学機械製造所の工場を買収して新会社が設立されました。

日本光学の大型双眼鏡は1923年に8cm双眼鏡、1925年には12cm双眼鏡、そして1932年に18cm双眼鏡が製造開始されましたが、東京光学では1934年〜翌年にかけて海軍技術研究所の山田幸五郎少将の指導を受けて12cm双眼鏡の試作を行いました。日本光学の製品を参考に設計されたと思われます。

東京光学の12cm高角双眼鏡は1939年に完成し同年453台が海軍に納入されました。その後直視型も含めて12cm双眼鏡は1942年 358台、 1943年 828台、 1944年 767台が製造されました。トプコン様から同社に保管されている東京光学製12cm高角双眼鏡の写真をお送りいただきましたので以下に掲載します。架台はオリジナルのものかどうか不明とのことですが鏡体中央部をどのように架台に固定したのかがわかります。また外観塗装は上塗りされておりオリジナルではありません。

参考文献:東京光学機械株式会社「東京光学50年史」 戻る