45cm反射望遠鏡で惑星写真 木星の高解像撮影
2019年も5月になり気流の状態が良くなってきたので、やっと木星の撮像を始めました。今年の木星は衝が6月10日ですが日本からの高度は30度程なので像の揺らぎを考えると条件はあまり良くありません。南半球の方々が撮ったすばらしい画像をみていると神奈川からでももう少し改善できないかと通常は行われない方法を試してみました。

試したのは、近赤外光だと像の揺らぎが可視光より少ないので、カメラ(ZWO ASI224MC)のIRカットフィルターを外して、RGB+IR同時撮像するものです。IRカットフィルターの使用が通常は推奨されています(ボケの原因になる)が純反射光学系では色収差がないので外しても焦点位置のずれが生じないと考えました。

これまで近赤外画像+RGB画像はIRパスフィルターを取り付けIR画像のみ撮像し後からRGB画像と重ね合わRGB+IRとするか、R画像の替わりにIR画像を重ねるかなどしてみましたが、色が不自然になったりスタックやデローテションをする手間が増えました。それに対してRGB+IR同時撮像は一度で撮像できるので楽です。

以下にその画像を載せますが、細かな模様が解像されすごい効果にびっくりしました。

注意、この方法を試みる場合、屈折光学系やシュミットカセグレン等では色収差が近赤外域まで補正されていないと像がボケる可能性があります。

これまでと同じIRカットフィルターを使用したRGB画像

2019/05/18/00:51 JST 10ms 2min 4092frames stack 、45cm反射+テレビュー5xパワーメイト、 ZWO ASI224MC (ADC) 、画像処理AS2、Registax6

撮影時のシーイング:6/10、透明度:3/5

IR画像

2019/05/18/01:24 JST 24ms 2min 2455frames stack、 45cm反射+テレビュー5xパワーメイト、 ZWO ASI224MC (ADC)、画像処理AS2、Registax6、バーダーIR透過フィルター(685nm)使用、RGB+IR同時撮像より解像度は劣っている。

RGB+IR同時撮像の画像

2019/05/18/01:10 JST 、10ms 、2min 、3987frames stack 、45cm反射+テレビュー5xパワーメイト、 ZWO ASI224MC (ADC) 、画像処理AS2、Registax6

デローテーションによる重ね合わせはしていません。すごく高解像になりました。フォトショップで色調と彩度を補正。木星に陰を落としているのは衛星エウロパ、その下にカリストが暗く写っています。

結論として、RGB+IR同時撮像はすごい効果!

・色調補正するとRGB+IR同時撮像画像は、他の方々が撮影したRGB画像と比較しても色の違和感が感じられず観賞用としては十分に感じます。45cmという口径の効果もあるとは思いますが、撮像日のシーイングは6/10程度でした。ここまで解像できるとは感動しました。

・効果があった原因の推測ですが、同時撮像で全体の光量が増え露出時間を短縮できる。近赤外光の情報量が増えた分、画像処理の際の情報量が増えてRGB像含めて高精細の画像が再現された。

余談ですがRGB撮像の場合にはRの波長の長い方をどこまで取り込めるかが解像に影響すると思います。IRカットフィルターの波長特性が気になります。

これからも良い画像が撮影できたら追加します。

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