45cm反射望遠鏡で惑星写真 動画のデローテーションと2019年の木星大赤斑
今年(2019年)の夏も気流の安定した日が少なかったのですが、比較的良い画像の撮れた8月13日の木星画像でWinJUPOS(11.0.4)による動画のderotationを試してみました。derotaition処理は簡単には、短時間の動画をスタック処理した画像を自転によるずれを補正して多数枚重ね合わせて行いますが、気流の条件の良い場合には動画の各コマを補正することによりさらに効果があるとのことです。長時間の連続した動画を補正することが可能になります。
今回動画derotationに用いた動画ファイルは撮影時間各60秒の4個のファイルです。カメラはZWO-ASI224MCで動画はモノクロのSERファイルです。
手順としてはいろいろ試しながら行いましたが以下のようになりました。ファイル名の時間が基準になるのでFireCaptureで事前に設定しておきます。

1.先頭の60秒のファイルをAS2でスタック後Registax6でwavelet処理しderotationの基準となる画像を作成。
2.WinJUPOSのTools→Derotation of video streamを開きvideoの欄にderotationする動画ファイルを選択。
 その下の imege measurement of a preliminary image from the orijinal video の欄に1.で作製した基準画像を選択。
3.Start De-rotation of video stream をクリックするとderotation動画作成が始まります。
 その後の処理ですが、私の場合は元の画像がカラーカメラ(ZWO-ASI224MC)なのですが、作成されたderotation動画が
 RGB夫々の3画像(モノクロ)となりました。このためこの後の処理が複雑になりました。
 この原因は元動画をFireCaptureで撮っておりSERファイル、RAWでキャプチャーしdebayerをかけていないためかもしれません。
 debayerをかけてカラー画像にするのも一案ですが、ファイルの転送速度が落ちてしまいます。
4.作成されたRGB各色のモノクロ動画をAS2、Registax6で処理してwavelet処理画像を作成。  
5.RGBのwavelet処理画像をWinJUPOSのTools→De-rotation of R/G/B framesを用いて3色合成。
 この際になぜか、色が変になりました。R channel に blue、G channel に green、B channel に redの画像を
 (RとBを逆にする)で正常な色になりました。
6. 2.-3.の手順で残りの3個のファイルから夫々のwavelet処理画像を作成する。
7. 作成された4個のwavelet処理画像をWinJUPOSのTools→De-rotation of imagesを用いて合成し最終画像を作成。
8. Derotation of video streamのオプション項目に視野回転の補正がありますが、私の場合はポンセマウント使用なのでチェックは入れていません。
 次にAccurate single frame calibration という項目がありますが、今回はこれにもチェックは入れていません。

結果は以下のようになりました。動画derotationの場合と単純に各動画をAS2でスタックし De-rotation of images
で合成した場合の画像です。ステライメージ8での画像復元処理とフォトショップでの色補正は同じ値で行っています。
もう少し差が出るかと期待したのですが、色味が少し違う程度でほとんど差はありませんでした。
作業時間は半日以上かかりましたが、気流の良い条件でまた試してみたいです。

動画デローテーションの後、AS2によりスタックしたRed画像

(201908131008.8(UT))

同じくGreen、スタック画像

同じくBlue、スタック画像

RGB合成画像

これは最初の60秒の分なので最終画像は同様の画像を4枚作成し合成した。

参考に当日の動画(部分)を載せました。

単純に動画をスタック処理して作成した画像

2019/08/13/19:10 (JST) 、10.38ms 、60sec x4、 8251frames stack 、45cm反射+テレビュー5xパワーメイト、 ZWO ASI224MC (ADC)、シーイング 7/10、透明度3/5

上の画像はAS2でスタック(50%)、Registax6でのウエーブレット処理のみ、下の画像はさらにステライメージ8での画像復元処理とフォトショップでの色補正を行ったもの

動画のデローテーションにより作成した画像

撮影データは左記と同じ

上の画像はAS2でのスタック(50%)、Registax6でのウエーブレット処理のみ、下の画像はさらにステライメージ8での画像復元処理とフォトショップでの色補正を行ったもの

2019年の木星大赤斑

5月24日

6月25日

7月24日

8月3日

今年に木星は6月10日に衝(赤道視直径46秒角)になりました。大赤斑はかなり赤くなり目立ちましたが赤い眼が隈取りされたようになり6月初めには赤い渦が引きちぎられるような現象が見られました。ちょうどその頃長い梅雨空でなかなか晴れなかったのが残念です。

2019年9月24日記

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